2011年4月18日月曜日

菅内閣は総辞職すべき

民主党政権を生んだ熱狂は怒りに変わった

昨年9月5日に「民主党政権の一年を振り返る」と題し小稿をまとめたが、それからさらに半年が経過した。民主党政権を生んだ熱狂はとうに過ぎ去り、担政能力が欠如し、素人のような行動原理の政治家集団の民主党の実態をみるにつけ、しばらくは見守るという根気はなくなり怒りとなっている。

「民主党政権の一年を振り返る」
http://nihonseikeijuku.blogspot.com/2010/09/blog-post.html

東日本大震災が流れを変えた

在日外国人からの政治献金問題を根拠に、自民党等の野党は内閣不信任決議によって政権奪還を目途し、また、その方向性も強まっていた。

現在からはほんの3ヶ月前となるが、2011年1月14日に菅第二次改造内閣が発足した。鳩山政権時代の度重なる失政による民主党支持率の低下からの脱却、党内力学上の覇権把握および政権浮上のためにも脱小沢を指向することでレイム・ダック状態からの脱出を図るものの、その後も相次ぐ問題の発生と閣僚等の離脱が相次いだ。
(以下、Wikiより一部引用)
 尖閣諸島中国漁船衝突事件と尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件での対応を批判され、参議院で問責決議が可決された仙谷由人内閣官房長官法務大臣馬淵澄夫国土交通大臣、さらに延坪島砲撃事件が発生した際、即日警察庁に登庁しないなど危機管理能力が疑われた岡崎トミ子国家公安委員長を退任させた。また党執行部と内閣の要職には反小沢派の重鎮を置き「脱小沢路線」を一層加速させた人事となった。しかし「打倒民主党」を掲げたたちあがれ日本の結党に参画した与謝野馨や参院選敗退時の幹事長だった枝野幸男、前参議院議長の江田五月の入閣については様々な議論をよんでいる。

そこに、3月11日の東日本大震災が発生し、激甚な災害対策という緊急性の高い意思決定が行われる必要が生じたために政治の流れに大きな変化が起き、皮肉にも首相の進退どころではない状態となった。

菅内閣は危機管理能力がない

危機管理対策の要諦は、リーダーが(特に重要な)意思決定において、そのリーダーシップを発揮し、一糸乱れぬ統制をもって課題解決を図っていくことである。課題解決の第一歩は課題の特定、ビジョンの言語化、優先順位の策定、担当分担・権限委譲の明確化、スケジュール/資材管理、情報の共有および開示などを同時に進めるとともに、一方で想定通りにならない場合に備えて冷静にセカンドオプションも策定するということである。3月11日現在で、このような危機的状況になるだろうということは、誰の目にも明らかであったが、菅首相のとった第一の行動は、3月14日に違法献金104万円を返却し、在日外国人献金問題をどさくさに紛れて葬り去ろうとしたことである。
危機管理の現場における個々の行動は、上記の課題解決のプロセスを時系列に適宜修正を加えつつ、絶え間なく進めていくことが必要であるが、この状況にあって「公」より「私」を優先するなどリーダーにおいてはあってはならないことである。被災地訪問、東京電力への叱責などのスタンドプレーについては、この行動原理=自己保全から来ているということで極めてわかりやすい。仙石官房副長官を官邸に戻したことを除いては、危機管理能力がないと判断する。

菅内閣は総辞職すべし

このような危機管理能力のない内閣総理大臣をいただくことは「国難」である。菅内閣はしかるべき早いタイミングで総辞職し、「挙国一致内閣」に政権移譲することを提言する。単に東日本の復興にとどまらず、今後100年程度をそのスパンとしてとらえて、日本の国家としての新たな設計を行うため、一年間程度の時限をきって(現衆議院議員の任期内を意識して)暫定的挙国一致内閣を組閣する。各党が総合的に政策調整を行う場と仕組みを作り、その過程も広く国民に開示する。この際に、国会議員の仕事は国家の経営の基本である「立法」であるということ、国会議員は国民を代表する存在であることを改めて認識されたい。内閣の構成は民主党を中心に、自民党、公明党、みんなの党等の野党間の調整で、今後一年で議論し、決定する政策の大骨子と政策決定過程の仕組みに賛意を示した政党の議員数を参考に閣僚数を按分するなどの考慮で一体感(担政責任感)も醸成されるだろう。

国際政治の今後の考え方

国際政治についても3月11日以降に大きく動いた。特に同盟国としての米国の危機管理能力能力および行動力は実証された。世界の超大国としての責任をもった行動は賞賛され、日本国民として感謝しなければならない。同盟国としての一体感が特に米軍・自衛隊等の防衛の現場では形成された。然り。今回の対応は、100%の人道支援的活動つまり「トモダチ」作戦であった。ただし、今後は、このような一体感が対外的な軍事攻撃戦略への一体的戦略体系に組み込まれないように留意しなければならない。すでに米国に対しては「対等な関係」を標榜することは難しくなったが、属国として扱われることとならないように日本が国家としての矜持を維持できる切り口が必要となる。

米国だけではなく、台湾等の親日国からの義捐金・被災地救援活動については、感謝の言葉も尽くせない。
(被災者支援をした国家の一覧)
http://laxmi858.blog60.fc2.com/blog-entry-29.html
今後、日本の復興と新たな時代(「福島以降」)での国際的な役割を考える際に、国際社会に何らかの形で還元していくという観点も欠かせないだろう。若い世代に海外との関連で物事を考えるという必要性をしっかり意識付け、今後の行動原理の中にこのような国際貢献の意義と重要性を落とし込んでいく教育が重要になる。