2010年3月28日日曜日

連立政権の限界

 国民新党の亀井代表が連立政権内での混乱要素となってきている。在日外国人参政権問題では民主党のマニュフェスト外政策の強行を抑止するという効果もあるが、郵政事業の抜本的見直しでは、「暴走」といえる。

 郵政民営化のポイントは、①効率的な運営がされ赤字事業などの見直しにつながること、②郵便貯金のより効率的な運用や貸出が実現し、経済活性化につながる、③事業体としての成熟度のアップやその後の保有株式売り出しにより財政への貢献が期待できるなどがある。
 小泉政権後の自民党政権末期の不作為の反動として民主党を中心とした連立政権が発足しているが、これによって郵政民営化の後退まで国民が選択しているかというとそうではない。特定郵便局長会や労働者団体の意向を汲みすぎるのは政権移行の「光と影」の「影」の面として写る。

亀井郵政改革大臣は以下を強行しようとしている。それを鳩山首相が承認した、しないで意思疎通の齟齬もあるように報道されている。

 ・国の保有する株式を一定部分は売却しない
 ・郵便貯金預入制限の緩和
 ・非正規社員の正社員化

これによって得られる効果は、事業展開の国有としての硬直化、民間金融機関への圧迫、郵政関連事業の費用増加と労働者層の政治関与の増大がある。三党党首クラスによる基本政策閣僚委員会を早期に開催し、亀井大臣の暴走を阻止することが肝要である。

○三党連立政権の政権合意

2009年9月9日に民主党、社会民主党、国民新党の三党は、第45回衆議院総選挙で国民が示した政権交代の審判を受け、新しい連立政権を樹立することとし、その発足に当たり、次の通り合意した。

 一 三党連立政権は、政権交代という民意に従い、国民の負託に応えることを確認する。

 一 三党は、連立政権樹立に当たり、別紙の政策合意にいたったことを確認する。

 一 調整が必要な政策は、三党党首クラスによる基本政策閣僚委員会において議論し、その結果を閣議に諮り、決していくことを確認する。

 政策合意の項目は以下の通り。

 1 速やかなインフルエンザ対策、災害対策、緊急雇用対策
 2 消費税率の据え置き
 3 郵政事業の抜本的見直し
 4 子育て、仕事と家庭の両立への支援
 5 年金・医療・介護など社会保障制度の充実
 6 雇用対策の強化―労働者派遣法の抜本改正―
 7 地域の活性化
 8 地球温暖化対策の推進
 9 自立した外交で、世界に貢献
10 憲法

2010年3月21日日曜日

自民党は今何をなすべきか③

 民主党鳩山内閣の支持率の低下が止まらない。また、それに輪をかけて自民党の崩壊が急速に進んでいる。党内改革を責任者を決め、広報戦略を明確にして、待ったなしで進めていかなければならない。
「自民党は今何をなすべきか②」(1月25日)で明示した党内改革

 派閥・長老的政治の打破
 年功議員は党幹部職として政策立案サイドへの転進か引退
 世襲の弊害の打破(親族の地盤は直接には継げない仕組み)
 民間・官僚との交流の活性化と登用
 政権構想ネットワークの構築
 党員拡大のKPIの設定
 政党助成金の効率的な活用
 政調会の所属ローテーションの活性化・部会再構成・戦略スタッフの外部化
 広報戦略の再定義(訴求するターゲット別支持拡大策の策定)

 これをさらに実効的に進めるために、「影の内閣」制度に基づいた次世代布陣を明確にし、この中で、若手議員(落選した浪人元議員)の発言機会の確保と政策研究の深化を図っていく。

 特に民主党の政策や法案については、何でも反対ではなくて、対案となる考え方の提示、よりよい政策実現となるよう法案修正へ働きかけなど、国民に担政力・政策実現能力をアピールしなければならない。

 鳩山邦夫元総務相の離党騒ぎは、これ自体を非難・批判するのではなく、自民党崩壊の警鐘として上記のような自浄のプロセスのきっかけとなるよう、谷垣総裁は大きな意思決定を早急に行う必要があり、そのための党執行部の人事を断行すべきである。河野太郎議員の登用など最もわかりやすいメッセージとなる。

2010年3月5日金曜日

外国人参政権問題の論点

 民主党マニュフェストへの盛り込みが見送られた「外国人参政権に係る法案」が民主党主導で今国会審議にかけられるところだった。鳩山首相・小沢幹事長の政治資金問題による支持率の低下や連立与党である国民新党の亀井代表の明確な反対もあり、今般の通常国会への上程は見送られることとなったが、今後引き続いた論争となることも想定されるため、論点をまとめておくこととしたい。

 この問題はつまるところ、韓国・北朝鮮との戦後処理問題と同根である。国民的コンセンサス形成不在の中で、民主党が多数を恃みに拙速にすすめる進め方自体が信頼感を損なう結果になっている。また、国家のあり方を論じる高邁な論客もいる一方で、差別的感情論の発露に終始する混迷の論客もおり、収集がつかない状況となっている。国政と地方との参政権の区分、参政権を選挙権と被選挙権の区分なくいっしょくたにし、何でも反対(何でも賛成)となっているように見受けられる。

-ポイントと考え方

 ○外国人の定義と範囲:特別永住者および別途定める要件(滞在期間・語学・資産・職業等)に適合した者として極めて限定的にとらえる必要
 ○相互主義:相互主義対象国については人口規模や制約条件の彼我の差はあるが、前提として必要
 ○プロセス:自動的に付与するのではなく、申請・登録手続きとその受理においてGood Citizen条項による審査や日本人からの推薦を条件
 ○参政権の範囲:国政への参政権(選挙権・被選挙権)については、外交・財政・防衛等の高度な判断は国民に帰属し、帰化を前提に考えるべきで当面凍結。地方への参政権は選挙権をまず開放する一方、被選挙権については選挙権の行使の状況などの経過を参考にしながら今後の検討とし、当面凍結
 ○選挙権剥奪の定義:刑法違反の犯罪行為、一定の過料以上の処分を受ける場合などを定める
 ○帰化の条件緩和:一定期間以上継続して地方参政権を行使した実績をもって帰化の条件を緩和するなどの仕組を別途検討

-その根拠

 ○「開かれた国家」観の提示
 ○相互主義の義務的手当と今後の相互主義対象国の拡大
 ○良質の外国人の流入促進による今後の総人口減少への手当
 ○友好国家群の醸成と外国からの軍事的攻撃を緩衝する国防上の措置
 ○危惧される内国政治干渉についても地方の選挙権に限定することで大きな影響を回避

○外国人の定義

 ・特別永住者
 1991年(平成3年)11月1日、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法)の施行により、戦前(1945年 9月2日以前)から引き続き日本に居住している平和条約国籍離脱者(韓国・朝鮮人及び台湾人)とそれらの人たちの子孫を対象に定められた在留の資格で、ほとんど制限がなく日本に永住できる。また、特別永住者の子孫も、日本で出生し、所定の手続をした場合は特別永住者となる。慣例的に「特別永住権」と呼ばれることがあるが法的に権利ではない。平成20年(2008年)の特別永住者の実数は、前年より9924人減少し42万305人である。国籍別では「韓国・朝鮮」が41万6309人で99%を占める。大阪・兵庫・京都の近畿3府県に約45%が集中する。

 日本から一時的に出国して戻ってくる場合に必要となる再入国許可の有効期間が4年間(事情によっては1年間延長可能で計5年。特別永住者以外の在留外国人は最長で3年間プラス1年の計4年)となり、この期間を通して日本国外に滞在でき、数次有効の再入国許可を取得すれば何回でも出入国できる。ただし、この有効期間内に再入国しないと、特別永住者の資格が直近の出国時に溯って消滅する。退去強制事由も4項目に限定(特別永住者以外の外国人は24項目)され、たとえば7年超(前同1年超)の懲役または禁錮に処せられた者で法務大臣が認定した者などと緩和されている。

 ・一般永住者
 一定の要件を満たして永住許可申請をし、許可され、日本国に永住している外国人のこと。平成20年(2008年)末現在で492,056人。国籍別では中国[台湾]が142,469人(29.0%)、ブラジルが110,267人(22.4%)、フィリピンが75,806人(15.4%)、韓国・朝鮮が53,106人(10.8%)、ペルーが29,976人(6.1%)、タイが12,519人(2.5%)、米国が11,814人(2.4%)などとなっている。近年は年10%以上の急速な拡大を見せている。平成19年(2007年)末に初めて特別永住者の数を上回った。特別永住者は韓国・朝鮮が99%を占めるのに対し、一般永住者は中国[台湾]・ブラジル・フィリピンの上位3国で3分の2を占める。

 永住の在留資格等を持ち日本に定着居住している外国人(在日韓国・朝鮮人、在日中国人、在日台湾人、日系ブラジル人、在日フィリピン人、在日ペルー人等)を「在日外国人」(英:resident aliens)と言う。短期滞在者(在日米軍関係者、在留資格を持たない者を含む)を「来日外国人」(英:visiting aliens)と言う。

○在留外国人の現状

 日本は海外移民受入による人口増効果は他国と比べ非常に小さいが、それでも外国人登録者数の推移を見ると、外国人は1991年末の122万人から2008年末の222万人へと17年間で8割増加している。特に90年代末からの増勢が目立っている。(データは法務省の登録外国人統計)

長期的には、1980年代後半からの増勢が目立っている。それまでの在日韓国・朝鮮人が60万人でほぼ一定という状況から、1980年代後半以降、中国人、ブラジル人、フィリピン人など多国籍化が進むという変化が顕著である。

 国籍(出身地)別には、特別永住者が多数を占める韓国・朝鮮人は従来外国人のほとんどを占めていたが近年は高齢化とともに減少を続けている。他方、中国人、ブラジル人、フィリピン人、ペルー人が17年間で2.3~3.8倍と大きく増加している。増加数規模では中国人の増加が同期間に48.4万人増と全体の増加数99.9万人の48%と半分近くを占めており特に目立っている。2007年末以降にはついに中国人が韓国・朝鮮人を上回った。

 韓国・朝鮮人でも特別永住者以外は増加している。韓国・朝鮮人特別永住者は1996年末の55万人から2008年末の42万人へと13万人の減であるが、特別永住者以外は同時期に11万人から17万人へと6万人の増である。

 ニューカマーと呼ばれるブラジル、ペルーなどの日系南米人は、1990年の入管法改正により新たに国内での求職、就労、転職に制限のない「定住者」資格が付与され、自動車産業の下請企業、業務請負業者等に雇用され急増するようになったものである。なお、2008年末には世界経済危機に伴う自動車産業の低迷で帰国した者も多くブラジル人はむしろ減少している。

 国勢調査では国籍別人口について産業別就業者数、失業者数を集計している。これを見ると、ブラジル人は製造業就業比率が6割以上と高く、失業率も4%台と相対的に低く、3次産業就業者が多く失業率も日本人並みに高い中国人、フィリピン人とは対照的となっている。また、韓国・朝鮮人は失業率が11%以上と日本人より高く、米国人、英国人はビジネス派遣や在日米軍関係が多いと見られ失業率も3~4%と非常に低い。このように、外国人は国籍別に日本経済における位置づけが大きく異なっている。
図録:外国人登録者数の推移
○外国人入国者及び登録者数

 主要五カ国の1998-2006年の国籍別外国人登録者数の推移

法務省入国管理局の統計によると、2008年(平成20年)の外国人入国者数は、世界的な不況の影響で、2007年比0.1%減の914万6108人となった。 2008年末現在の外国人登録者数は、中・長期的に生活を送る者が増加し、2007年比3.0%増の221万7426人、総人口に占める割合も1.74%で過去最高を更新した。

 2009年(平成21年)1月1日現在の不法残留者数は、入国審査の厳格化、関係機関との密接な連携による入管法違反外国人の集中摘発の実施等総合的な不法滞在者対策により、前年比24.5%減の11万3072人となった。過去最高であった1993年(平成5年)5月1日現在の29万8646人から一貫して減少している。不法滞在者の21.4%が韓国人であり、毎年最も多い不法滞在外国人となっている。

2008年末現在の日本における国籍別外国人登録者数

国籍     人数    構成比

中国     655,377  29.6%
韓国・朝鮮 589,239  26.6%
ブラジル   312,582  14.1%
フィリピン  210,617   9.5%
ペルー     59,723   2.7%
米国       52,683   2.4%
その他    337,205   15.2%

合計     2,217,426   100%


2008年末現在の日本における外国人の在留資格

在留の資格   人数   構成比

一般永住者  492,056   22.2%
特別永住者  420,305   19.0%
定住者     258,498   11.7%
日本人の配偶者等 245,497 11.1%
留学       138,514   6.2%
その他      662,556   29.8%

合計      2,217,426   100%

○外国人参政権について各国の現状

 外国人に対して、出身国籍を問わず国内全体で地方自治の選挙権を与えている国は、現在24ヶ国(/世界の独立国203ヶ国)ある。これらの国々も国籍や滞在期間、在留資格、年収などの要件で参政権を与える外国人を制限している。国家基本問題研究所によれば、外国人に参政権を認めている国は、長期間外国人労働者を誘引する政策を採用していたなどの特別な理由のある場合のみである。

 ヨーロッパ各国が外国人地方参政権の付与に積極的に見えるのは、欧州連合という枠組みにおいて、国家間の政策や協力により一致結束して実行するという目的が背景にある。ヨーロッパのうち、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア、チェコ、ギリシャの6カ国では、付与対象者の国籍をEU加盟国に限っている。その他、EU加盟国、英連邦加盟国同士や、近隣国の間で国籍を限定した外国人参政権を認めた国がある。また、限られた地方自治体の中で外国人参政権を認めている国もある。それらを合計しても外国人参政権を認めている国は39ヶ国で、外国人参政権を認めていない国の方が多い。

・日本

 日本は日本国憲法の、第15条第1項で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」、第43条第1項で「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」としており、現状で外国人参政権は国政も地方も認められていない。しかし2009年、外国人参政権推進派の多い民主党が与党となり、推進派は地方参政権を付与する法案の提出を目指して活動を活発化させている。

・韓国

 韓国では一部の外国人にも地方参政権を付与している。なお2005年7月の済州道における住民投票が、永住権者の参政権を認める初の例となった。在日韓国人参政権要求に関する相互主義

• 韓国は、相互主義として在日韓国人への参政権の付与を日本に対して求めている。これに対しては、「そもそも在韓日本人で参政権を得ている者は数十人であるにもかかわらず、日本で対象となる在日韓国人は数十万人もいて、決して相互主義が成立する条件に無い」とする長崎県議会意見書や、「韓国では参政権付与の前提として永住権取得が義務付けられており、永住権取得には日本円にして2億円以上の投資や相当の高年収を得ている必要があるなど条件が極めて高く、とても相互互恵とはいえない」とする見解や、韓国で永住が認められるのは主として韓国人の配偶者やその子弟であること、日韓双方の対象人口の大きな隔たりなどを指摘したうえで互恵主義が成立する条件が欠如しているとする見解がある。

• また、日本では在日本大韓民国民団が外国人参政権を獲得するためとして、外国人参政権付与を民団に約束した政党を支援する選挙活動を行っているが、韓国では外国人が選挙運動に参加した場合は3年以下の懲役刑が科せられることとなっている。

・北朝鮮

 北朝鮮は外国人に参政権を付与していない。朝鮮新報は「参政権付与が安易に時代の流れと言えないことは明白だ。」としている

・中国

 中国は外国人に参政権を付与していない。

・フランス

 フランス(EU加盟国)は、EU国民に限って地方参政権の付与を認めている。過去の憲法においては、外国人地方参政権の付与が認められなかったが、EU他国との相互主義を前提としてEU国民に地方参政権を付与できるように憲法を改正してきたが、2010年1月13日、フランス政府リュック・シャテル(Luc Chatel)報道官は、最大野党の社会党が、EU国民以外に対する外国人地方参政権法案を提出する動きを示したことについて、「論外」とフランス政府の公式見解として表明し、一般外国人の参政権を認めないことを明らかにした

・ドイツ

 ドイツ(EU加盟国)は、EU他国との相互主義を前提としてEU国民に限って地方参政権の付与を認めている。EU成立以前、ドイツ憲法では、外国人の参政権は認めていなかった。1989年、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州が相互主義を前提とした外国人地方参政権を付与した件が憲法訴訟に発展した。1990年、ドイツの連邦憲法裁判所はこの州法を違憲とする判決を出している。ドイツは「ヨーロッパ連合条約の批准」という要請があったため、1990年に憲法を改正し、EU加盟国国民に地方参政権を認めた。

・オランダ

 オランダ(EU加盟国)は、ロッテルダムにおける1979年の地方選挙で外国人参政権を認めた。この動きは1985年までに全国に拡がることとなった。なお西尾幹二は「オランダではEU域外の外国人へ地方参政権付与を行ったために外国人が都市部に集中して移住し、オランダ人の立ち入れない別国家のようなものが形成され、オランダの文化や生活習慣を祖国流に変革しようとする動きが、内乱に近い状態を生み出している」とする見解を述べている。

○国政参政権と地方参政権

国政レベルの被選挙権(立候補権) :イギリスが英連邦国民に認める1例のみで、国籍を問わず与える国は存在しない。

国政レベルの選挙権(投票権) :特定の国籍に限り与える国が7ヶ国あり、国籍を問わず与える国が4ヶ国ある。

地方レベルの被選挙権(立候補権)  :特定の国籍に限り与える国が11ヶ国あり、国籍を問わず与える国が14ヶ国ある。

地方レベルの選挙権(投票権)   :特定の国籍に限り与える国が13ヶ国あり、国籍を問わず与える国が26ヶ国ある。

 ・外国人参政権を与えている国家

• EU(欧州連合):アイルランド、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、リトアニア、エストニア

• EU非加盟:ノルウェー、アイスランド、ロシア

• イギリス連邦:ニュージーランド

• 北米・南米:チリ、ウルグアイ、ベネズエラ

• その他:韓国、イスラエル、マラウイ

韓国における参政権の制約条件

国政 選挙権:×  被選挙権:× 地方 選挙権:○  被選挙権:×
全ての国 を対象  永住資格取得後3年以上が経過した19歳以上の外国人。永住資格(F-5)取得には次のいずれかの条件を満たすことが必要。

1. 200万ドル以上を投資した外国人投資家として、韓国国民を5人以上雇った外国人。
2. 50万ドル以上を投資した外国人で、企業投資(D-8)の資格で、3年以上韓国国内に継続して滞在しながら、韓国国民を3人以上を雇った外国人。
3. 法務部長官が定める先端技術分野の博士学位証明書を所持する者で、永住(F-5)の資格申請時に韓国内企業に雇用され、法務部長官が定める金額(韓国の国民一人当たりGNIの4倍)以上の賃金を受ける外国人。
4. 法務部長官が定める先端技術分野の学士号以上の学位証明書、または法務部長官が定める先端技術資格を所持する者であって、韓国滞在期間が3年以上で、永住(F-5)の資格申請時に韓国国内企業に雇用され、法務部長官が定める金額(韓国の国民一人当たりGNIの4倍)以上の賃金を受ける外国人。
5. 科学分野で、一定の論文引用頻度や受賞歴があり、科学技術部長官の推薦を受けた外国人。
6. 経営分野で、常時勤労者数300人以上、及び資本金80億ウォンを超過する内外企業の常勤理事や相談職を勤めている者で、大韓商工会議所長、大韓貿易投資振興公社長または全国経済人連合会長の推薦を受けた外国人。または、世界有数の経済誌(FORTUNE等)が選定した最近3年以内の世界トップ500企業で、店長や経営幹部として1年以上勤務した経歴を持っている者のうち、韓国国内の支社などで役員として勤務している外国人。
7. 教育分野で、論文の引用程度、又は研究実績によって、教育部長官の推薦を受けた外国人。
8. 文化芸術分野で、国際的に名声のある芸術家、監督、声楽家等として、文化観光部長官の推薦を受けた者 。
9. 体育分野で、オリンピック、世界選手権大会、アジア競技大会、またはこれと同等な水準の大会で、銅メダル以上の賞を受賞した選手と、その指導者の外国人、ワールドカップサッカー大会で16位以上の成績をおさめた選手と、その指導者のうち、文化観光部長官の推薦を受けた外国人。
10. 勲章などを受けた韓国の独立や発展に特別に功労があった者で、法務部長官が認める外国人。
11. 聖職者でとして社会福祉活動に顕著に貢献し、韓国に特別な貢献があると法務部長官が認める外国人。
12. 韓国国外からの年金を受ける60歳以上の者であって、年間の年金額が法務部長官が定める金額(韓国の国民一人当たりGNIの2倍)を超える外国人。
13. 大韓民国民法によって成人で、本人または同伴の家族が生活を維持する能力があり、素行に問題がなく、韓国に継続居住するのに必要な基本的な素養を備えるなど、法務部長官が定める条件を満たした者で、駐在(D-7)、企業投資(D-8)、貿易経営(D-9)、教授(E-1)、会話指導(E-2)、研究(E-3)、技術指導(E-4)、専門職業(E-5)、特定活動(E-7)、居住(F-2)の資格で、5年以上韓国に滞在している外国人。
14. 永住(F-5)の資格を持つ者の配偶者や未成年の子供として、韓国に2年以上滞在している者であって、韓国に必要があると認められる外国人。

○推進の動き

 在日韓国・朝鮮人など「永住外国人に地方選挙権を付与する法案」を通常国会で提出し、実現させることを目的として在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟が、2008年1月に設置された。会長は、岡田克也外相。衆参議員65人(衆院29人、参院36人)が参加している。

 民主党は、外国人地方参政権付与法案を1998年、2000年に提出していたが、いずれも廃案となっていた。しかし、2006年に韓国が永住外国人の地方選挙権を認めたことから、白真勲、川上義博、津村啓介、千葉景子らは「相互主義の観点からも、これ以上放置できない」として民主党内で呼びかけ、この議員連盟が発足した。
 また、外国人地方参政権付与は自民党が慎重であり、逆に公明党が強く求めていることから「参院に民主党が法案を提出し、公明党に賛成を呼びかければ、与党の分断を図ることができる」ともしている。しかし、民主党内の保守派議員からは「憲法上も、国のあり方という観点からも、絶対に認められない」し、「逆に党内に亀裂が生じるのではないか」という批判も出ている。
 岡田外相は、2008年1月30日の初会合にて「この外国人地方参政権問題は、民主党としては長年の政策であり、悲願でもあった。私も政策責任者だったおりに、この法案を何度か国会に提出しながら、実現しないことに責任を感じてきた。党として、しっかり法案提出に持って行く。それがこの議連の役割だ。多様な価値観を認める日本の象徴が、この法案だ。」と語っている。
 小沢幹事長は、2008年2月の訪韓の際に、李明博大統領から「在日本大韓民国民団(民団)からの要望」もあり、地方参政権付与の協力を求められ、「在日韓国人への参政権付与を与えるのがもたもたしているのは遺憾に思っている」と成立に強い意欲を示し、2008年12月には民団が民主党の支援を表明し、小沢はそれに謝意を伝えている。
 2009年4月には、櫻井よしこを勉強会に招き、櫻井から参政権付与には帰化をさせるべきと意見され、参加した一部の議員からは「極めて共鳴した」(蓮舫)、「おおむね私の認識と同じだ」(牧義夫)と共感された一方、議連会長の岡田克也は「『選挙権を得たければ国籍を捨てろ』といわれたら許せない」などと主張し、意見を受け入れることはなかった。
 2008年5月、同議員連盟は「永住外国人への地方選挙権付与に関する提言」をまとめている。この中では、(1)対象者を「特別永住者」のみならず「一般永住者」まで拡大すること(ただし国交のない北朝鮮国籍者を除く)、(2)「相互主義」を前提とせずに外国人参政権を与えるつもりであること、(3)対象選挙を「地方選挙権」に限ること(直接請求権・公務就任権は今後必要に応じて検討)、(4)「申請主義」を採用し、要件として20歳以上で3ヶ月以上居住していること、等まとめている。 (この提言が現在の民主党案の草案として想定されているものである)

 一方、北朝鮮系と言われる朝鮮総連は、一貫して在日朝鮮人の選挙権付与には強硬に反対している。

○なぜ帰化ではないのか

 ・経済的・家庭的な理由で結果的に長期に亘る滞在となっただけでもともと帰化の意図は無い
 ・母国への愛国心や先輩世代からの批判、プレッシャーがあり、帰化に後ろ向き
 ・帰化のメリットが明確でない(不自由はない)

○なぜ参政権付与を拒否するか

 ・参政権とは国内の政治に影響力を行使するための権利であり、外国人に参政権を認めるということは、この内政干渉を合理化することにつながる
 ・国政はもちろん、地方自治体の政治も内政の一部である
 ・税金は道路、医療、消防、警察などの公共サービスの対価であり、参政権とは関係ない(もし、税金によって参政権が与えられるなら、逆に言えば学生や主婦、老人など、税金を払っていない人は参政権が剥奪される)
 ・在日韓国人・朝鮮人は祖先が強制的に連れてこられた経緯はあるにせよが、在日の方々は100%自分の意思で日本に居住している人々で、彼らに対して帰国を制限していない
 ・外国人に参政権を与えるとなれば、それは外交問題であり、日本だけの都合では取り返しがつかない
 ・国籍を与えないで参政権を与えることは、国際的な意味での日本のイメージの悪化にもつながる可能性がある

○参政権を付与・剥奪する条件等

 ・当該地方自治体に連続した一定の期間滞在
 ・日常的に利用する日本語能力
 ・Good Citizen条項
  無犯罪
  納税実態
  公安要素(スパイ防止法)
  申請および推薦・身元保証
  Bad Citizen判定は他自治体でも適用

○想定される影響や問題

 ・不法滞在、外国人犯罪
 ・文化の違いによるトラブル - 例えば、銭湯の入場拒否事件
 ・外国人学校の学費が高く、子供をお目当ての学校に通わせられず不就学になってしまう
 ・派遣切りなどで出稼ぎ者が職場をクビになり、再就職先も見つからず 
 ・犯罪の温床
 ・政治団体的な他国の国益の追求とわが国へのネガティブ反応

2010年3月1日月曜日

法案国会提出と閣議決定について

 外国人参政権に係る法案の国会提出が見送られることになった。かねてより亀井静香国民新党代表、金融・郵政改革担当相が党として、また、政治家個人として反対するとしていたため、法案提出に関する閣議決定のプロセスにおいて、事と次第によっては内閣不一致という事態となり、亀井大臣が「更迭」された上で他の国務大臣が後任として兼務し、当案件を閣議決定するというシナリオも無いわけではなった。
 その場合、国民に連立政権の担政能力の著しい欠如を露呈することになり、結局は「誰も得しない」結果となったであろう。一方、自民党も国会の場で審議する十分な用意と毅然としたポリシーも無く、単に民主党政権の問題にとどまらず、国家・国民主権に関わる大問題に発展していたことも想定される。今回は、そのような事態に陥らなかったことをよしとし、「閣議」について各種資料をもとにまとめることとする。(また、外国人参政権の問題については別途、論考することとする。)

○閣議とは(定義)

 閣議とは、内閣法によって、内閣が職権を行使するときに開催が義務づけられている、内閣総理大臣と国務大臣全員による会議のこと。内閣は、合議体であって、内閣の意思は国務大臣が閣議によって決めることを原則としている。(内閣法第4条で規定されたものだが、会議の手続きについては定めがなく、慣行によっている。)

○開催要項

 閣議には毎週火曜日と金曜日の午前中に開かれる「定例閣議」と、必要に応じて開く「臨時閣議」があり、原則として全閣僚が総理大臣官邸閣議室(国会期間中は国会内の閣議室)に集まって行われる。しかし、早急な処理を要する案件の場合には内閣参事官が閣議書を持ち回ってそれぞれの閣僚の署名を集めることにより意思決定とする場合がある。これを「持ち回り閣議」という。閣議は非公開(秘密会)が原則である。
 閣議は、総理大臣が主宰するが、実際の司会・進行は内閣官房長官が行う。 国務大臣が海外出張する時には、当該大臣の臨時代理が前もって決められる。
 閣議は円形のテーブル(*)で行われ、席次は省庁の設置順である。閣議の結論は、内閣官房長官を通じて外部に報告される。意思決定には参加できないが、内閣官房副長官と内閣法制局長官が陪席することになっている。

 (*)現在は首相官邸公式サイトに新・旧両首相官邸の閣議室の写真が掲載されている。現在の首相官邸閣議室は広さ約110平方メートルで、直径5.2メートルの円形テーブルが置かれており、通常は閣僚がこのテーブルを取り囲むように着席する(陪席の内閣官房副長官・内閣法制局長官は別テーブル)

○提出される案件種別

・一般案件(国政に関する基本的事項で、内閣としての意思決定が必要であるもの)
・国会提出案件(法律に基づき内閣が国会に提出・報告するもの)質問主意書に対する答弁書なども含む。
・法律・条約の公布
・法律案の決定
・政令の決定
・報告(国政に関する調査、審議会答申などを閣議に報告する)
・配布(閣議の席上に資料を配付する)

○決定事項の種別

 明確な根拠法に基づくものでなく、案件の重要性に応じた分類と慣習的に考えられている。閣議決定、閣議了解、閣議報告として処理され、どのような案件をどの決定形式にするかの規則が作られているわけではない。閣議の意思決定には「閣議決定」、「閣議了解」の2つがある。内閣としての意思決定を「閣議決定」、本来は主務大臣の管轄事項だが、その重要性から閣議に付された案件に対する同意としての意思決定を「閣議了解」と区別するが、その効力に差があるわけではない。

・閣議決定: 合議体である内閣の意思決定。閣議における案件処理のなかでは、最も重みを持つ。
・閣議了解: 本来主任大臣の権限に属する事項について、それらの事項の重要性を考慮したうえで、閣議に提出して他の国務大臣の意向も聞くことが適当と判断されたものについて行われる。
・閣議報告: 主要な審議会の答申や省庁の白書等を閣議で披露するような場合に行われる。

○閣議決定と文書の流れ
 
 憲法または法令に定められた、法律案・政令・予算など内閣の職務権限として明示された事項および他の重要な事項について行われる内閣の全員一致(*)による意思決定。もし、反対の意志を曲げない大臣がいた場合は、内閣総理大臣は閣議での議決を断念するか、その大臣をその場で罷免するかを選択しなければならない。

(1) 各省で特定の案件を閣議に提出することを求める閣議請議の文書を起案し、大臣が決裁し、内閣官房に送付する。
(2) 内閣官房(内閣書記官室)で送付された文書の案について国務大臣の署名欄のある用紙(閣議書)で起案し、閣議の席上で各国務大臣の署名(花押)を求める。
(3) 内閣官房(内閣書記官室)は、決定された内容について閣議を求めた省に通知し、政府の方針の決定のようなものであれば関係機関にも通知の書面を送る。

(*) 内閣が、「行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う」(内閣法第1条第2項)ことに基づく。)

○その他

 定例閣議は各省庁から上がってきた書類への署名に精一杯なのが現状。閣議終了後、閣議で取り上げられなかった議題や国政の議論を「閣僚懇談会」などを設けて自由討論したり、情報交換を行ったりすることもある。閣議及び閣僚懇談会には、公式的な議事録はない。記録を残すと、外に出た場合、閣内不一致を指摘される恐れがあるからである。
 首相が入院したために、閣議を主催できない状態で首相臨時代理を指定しないまま定例閣議の時間を迎えた安倍内閣末期の場合、定例閣議に代わる閣僚懇談会が閣議進行役の内閣官房長官が主導する形で行われ、全閣僚が閣議書に署名した後で首相が入院先の病院で決裁する「持ち回り閣議」の手法をとっていた。
 鳩山由紀夫内閣の平野博文官房長官は、2009年12月1日の記者会見で、「閣僚間の忌憚ない意見交換ができる場だから作成していない」、「かならず記者会見などを行うことで透明性は確保される」と理由を述べ、公式的な議事録は今後も作成する予定はないとしている。
 また、閣議の効力についても、法律等の国会決議そのものではないので、国民の理解を得て世論が変われば、決定内容も絶対的なものとはいえない。

(首相官邸HP 閣議)
http://www.kantei.go.jp/jp/rekidai/1-2-5.html

(首相官邸HP 閣議案件)
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/index.html

(kotobank.jp 新藤宗幸千葉大学法経学部教授 )
http://kotobank.jp/word/%E9%96%A3%E8%AD%B0

(北海道医師連盟 常任執行委員 中川俊男氏)
http://www.doiren.jp/key_kakugikettei.html

(wikipedia 閣議)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A3%E8%AD%B0