2010年1月23日土曜日

自民党は今何をなすべきか①

 落日の自民党は、民主党の自滅に近い敵失に有効な策を打てていない。その遠因は、第45回衆議院議員総選挙の惨敗の責任をとって辞任した総裁麻生太郎の後任を選ぶべき総裁選において惨敗原因の総括などの現状認識を党として共有しようとしなかった点にある。安倍・福田内閣と続いた政権の投げ出しがあり、国内経済の疲弊および二極化の進展に加え、リーマンショックに端を発する世界金融恐慌の勃発に適切に対処できていない状況となっていた。

 そのような厳しい環境であるにもかかわらず、麻生首相の耐えられない「物の言いの軽さ」、閣僚の不祥事と続き、国民はついに長期間にわたった自民党政治にとって代わる新しい政治原理を求め、民主党の歴史的な大勝が導かれたということである。ただし、これは消極的選択という意味合いもあり、国民の大部分は経験不足の民主党を実力・経験のある野党として矯正しうる自民党、二大政党制による安定を望んでいた。

 そのような現実に直面しても、自民党の動きは鈍く、ある意味支離滅裂となった。舛添要一氏、小池百合子氏、石原伸晃氏、石破茂氏などの総裁選経験者や有力閣僚の不出馬や出馬断念が続き、党の再生を目指す力学よりも「旧政権政党的」な人事力学を優先してしまった。その結果、谷垣禎一氏、河野太郎氏、西村康稔氏の三つ巴となったが、選出されたのは安定的とはいえ世代交代の意味合いのもっとも少ない谷垣氏であり、氏の「みんなでやろうぜ」の空虚な掛け声にもかかわらず、短期的には世代交代もなく党再生の可能性も低くしてしまった。この過程で印象的な映像が二つある。一つは麻生氏の辞任を受けて開かれた会議で両議員総会会長の若林正俊氏を首相候補することが決議されたが、その際に麻生元総裁が浮かべたうすら笑いなど耐えられない浮薄さ。もう一つは総裁選挙中の札幌の街頭演説の際に総裁候補の河野洋平氏が町村信孝氏に「あまりに調子に乗って跳ね返るなよ(覚悟しておけ)」との恫喝。

 自浄作用を失った干潟には生物は住まない。中選挙区制度がはぐくんだ派閥を住処とする豊かな人脈からなる自民党の復活はしばらく期待できない。

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